2013年06月23日

「どっち付かずは命取り」 SAXON

結成37年を誇り、IRON MAIDEN、DEF LEPPARD と共にN.W.O.B.H.M. の生き残りであるSAXON は、現在でもその疾走するサウンドを武器にドイツ及び東欧を中心に根強いファン・ベースを持ち、今なお健在なのですが、80年中期にはアメリカ制覇を合言葉に音楽性を変貌させ、強固なファン達を奈落の底に突き落としました。

確かに、あの時代のアメリカ制覇は英国のアーティストの見果てぬ夢でもあり、多くのバンド達がアメリカナイズという悪性の変身を遂げ、夢破れて堕落していったのです。

初めからアメリカをターゲットとし、強力なマネージメントとプロデューサーとタッグを組んで駆け上がっていったDEF LEPPARD。全米中をくまなくツアーし、ハードなサウンドでファン層を巨大に拡大していったIRON MAIDEN。一方SAXON は、今考えると何とも中途半端な形で、このアメリカ制覇の野望に挑んでしまったのです。

それまでの荒々しい疾走サウンドから、ポップな楽曲を中心に変貌した84年発表の 「CRUSADER」 でファンの猛烈な顰蹙を買い、彼らは窮地に追い込まれました。

ただ、その時の所属レコード会社Carrere Records は、フランス人の実業家が起こした弱小レーベルだったためにアメリカへプロモーションする程の力を持っておらず、また印税の未払いトラブルも重なってレーベルを離脱。なんと、IRON MAIDEN も所属するメジャーのEMI と見事、契約を致します。

これまでの何倍ともなるレコーディング・バジェットや、1年間の間に書き留めた30曲以上の楽曲から厳選して作られた、レーベル移籍第一弾となるアルバム 「INNOCENCE IS NO EXCUSE」 は、これまたなんとも迷いに満ちた作品となってしまいました。

メジャー特有のクリアなサウンドはよく言えば聴き易く、悪く言えば奥行に乏しくて、ミディアム・テンポな曲を並べた作品の流れは緊張感の欠片もありません。@BD辺りの楽曲は個人的にはナイスだと思うのですが、う〜ん。いかんせんパンチの無さが非常につらいんですよ。

レコード会社のプレッシャーも多分にあったと思うのですが、一般のファンの耳を引き付けるだけのフックがある訳でも無く、また従来のファンを納得させるだけのSAXON らしさも無い、なんとも中途半端な形の作品は、 「どっち付かずは命取り」 という諺を地で行ってしまいました。

彼らを支えてきたハード・コアなファン達も、SAXON は終わった。と感じたでしょう。

それでもEMI より3枚の作品を発表して彼らの誇りを見せつけましたが、結局レーベルから見事に首を切られ、SAXON は復権を目指してヨーロッパに活路を見い出します。

残念ながら、本作はSAXON の作品中、底辺に位置するアルバムとなってしまい、なんとも寂しいレビューになってしまいました。 (ジャケットは好きなんですけど‥。この娘超カワイイ)

ただ、これに反省してか、現在では初期の疾走サウンドを彷彿させるガッツィーな作品を連発。彼らはマイナーながらもしぶとく生き抜いています。個人的にはIRON MAIDEN よりも全然好きなんです。頑張れ、SAXON !



51jGKmEC+ML__SL500_AA300_.jpg


INNOCENCE IS NO EXCUSE / SAXON (1985)

@Rockin' Again
ACall of The Wild
BBack on the Streets
CDevil Rides Out
DRock 'n' Roll Gypsy
EBroken Heroes
FGonna Shout
GEverybody Up
HRaise Some Hell
IGive It Everything You've Got


歴史的インパクト  個人的思い入れ 
ジャケット・デザイン ★★★ レア度 ★★★
雷イチ押しポイント雷 ジャケットは素晴らしい ! 他は ? 聞くなって(笑)






posted by ハムバッカー at 23:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年06月02日

性格も事なかれ主義の代表のような  GILLAN

DEEP PUPLE に在籍していたメンバー達がその後に結成したバンドで、トップの知名度を誇るのがリッチー率いるRAINBOW 、続いてデイヴィッド・カヴァーデイルのWHITESNAKE 、そして、知名度が意外に本国イギリスのみと影が薄かったバンドが、イアン・ギランのGILLAN じゃないでしょうか?

確かに、英国夏の風物詩と言われたレディング・フェスティバルには4年連続で出演してますし、本作 「Future Shock」 は見事、全英チャートにてNo.1に輝いてます。

日本でも2度来日記念公演を行っており、「ライヴ・アット・武道館」の名目のライヴ・アルバムも発表しているんですよ。(しかも2作も!)

でも、PURPLE 絶頂の第U期のヴォーカリストとして、もっと華々しく活躍していても? と思うのは、私だけじゃないでしょうか。

72年にDEEP PURPLE を脱退した後はミュージシャン稼業からきれいさっぱりと身を引き、イアン・ギランはホテルやスタジオ経営などの実業家へ転身しました。しかし、所詮ミュージシャンしかやった事の無い人間で、性格も事なかれ主義の代表のような (笑) 感じでしたので当然、事業は軌道に乗らずに多額の借金を作ってしまいました。

結局、借金返済の為にミュージシャンへ復帰したのは紛れもない事実ですし、GILLAN のバンドのイメージも地味でしたし、 " Child in Time " " Smoke on the Water " のセルフ・リメイクを発表している所からも分かるように他力本願だったことは否めません。

初期のプログレッシヴなサウンドを指針していた頃から、メンバーを一新して3作目となる通算8作目 「Future Shock」 は、彼らの最高傑作と呼べる作品であり、リズム隊の安定感やバーニー・トーメの破壊的なギター・ワークが魅力の一つであり、イアン・ギランの高音シャウトもそこいら中で炸裂しまくってます。

ヘタウマで変ちくりんなアルバム・ジャケットはあっちに置いといて、火の玉のように疾走する楽曲をBDFとアルバム均一に配し、イントロがフィンガー5の 「学園天国」 を彷彿させるポップなカヴァー曲Eのナイスな選曲、、ヘヴィ・メタル・ラップとも言えるイアン・ギランのおバカ度全開 (笑)、奴でしか出来ないと断言出来るCなど、聴き所満載です。

個人的にはコリン・タウンズの物哀しいピアノから始まるマイナー・サウンドのIが最高で、ギランの哀愁を帯びたヴォーカルは絶品ですよ!

この後、ギターのバーニー・トーメが、 「ギランは結局、DEEP PURPLE から離れることが出来なかったのに失望した。」 と捨て台詞を残して脱退、元WHITE SPIRIT 、その後IRON MEIDEN に加入する事となるヤニック・ガーズを迎えて82年の終わりまでまでバンドを存続させますが、喉に出来たポリープを理由に突然バンドを解散させ、悪夢のBLACK SABBATH 加入を挟み、ついに念願のDEEP PURPLE 再結成を果たします‥。

イギリスだけのレコード・セールスやツアーだけではバンドを維持していくだけで精一杯だったと聞いたことがありますし、一発逆転の借金返済にはPURPLE 再結成が必須だったんでしょうね、たぶん。

なお、本作は国内CD発売に際して、全10曲にボーナス・トラックをなんと10曲(!)追加した20曲の山盛りで発売されました。なんかギランらしくて笑えますね。



61ncvWK1xcL__SL500_AA300_.jpg


FUTURE SHOCK / GILLAN (1981)

@Future Shock
ANight Ride Out of Phoenix
B(The Balad) of Teh Lucitania Express
CNo Laughing in Heaven
DSacre Bleu
ENew Orleans
FBite the Bullet
GIf I Sing Softly
HDon't Want the Truth
IFor Your Dreams


歴史的インパクト ★★ 個人的思い入れ ★★
ジャケット・デザイン  レア度 ★★★
雷イチ押しポイント雷 イアン・ギラン馬鹿度満載!でもきっと、本人いたって真面目(笑)







posted by ハムバッカー at 11:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする