2011年06月21日

やはりDNA が同じなのは MAMA'S BOYS

AC/DC、VAN HALEN、HEART など兄弟で結成されたバンドは多々ありますが、兄弟3人で、しかもトリオ編成にて結成されたバンドは非常に珍しいと思います。そう、今回取り上げるのはマクナマス兄弟3人からなる北アイルランド出身のMAMA'S BOYS です。

兄弟というのはある意味バンド内の結束等での強みがあります。金や女が絡んでメンバー間の仲が険悪になるパターンを様々なロック・バンドで見てきましたし、やはりDNA が同じなのは長続きする最高の秘訣なのでしょう。

THIN LIZZY、GARY MOORE、U2 らと共通するアイルランド・ミュージックへの傾倒が彼らの個性であり、長男でありギタリストであるジョンが透明なフィヨルド(バイオリンのことね)を取り出して、ロック・カントリー・アイルランド民謡を弾き出すパフォーマンスは、プログレならともかくHR/HM の範疇ではちょっとビックリです。

また同じ出身地同士の絆も強く、同郷のフィル・ライノットもTHIN LIZZY のヨーロッパ・ツアーに同行させる程、彼らの面倒を良く見ていましたから。

そのMAMA'S BOYS がアメリカ制覇を夢見てアリスタ・レコード傘下のジャイヴと契約。そこからの2作目、通算5作目となる 「POWER AND PASSION」 は、当時猛威を振るっていたLAメタルとは一線を画すサウンドで果敢に勝負を挑んできました。

プロデューサーはGARY MOORE、TYGERS OF PAN TANG、JUDAS PRIEST、最近ではYNGWIE J.MALMSTEEN や ANVIL らを手掛けた大物、クリス・タンガリーディスを起用。ラウドなサウンドを録らせれば天下一品のプロデューサーですが、彼の作り出すドラム・サウンドが個人的にはあまり好きでないのでちょっと心配していたら、予想通りの(笑)テンテンしたスネアの音 ‥ 。

だがそんなサウンド・プロダクションを凌駕する楽曲が、本作にはてんこ盛りに詰まってました!

アナログでいうA面、B面のトップを飾る@やEにおけるミディアム・テンポの力強い躍動感は明らかに欧州寄りのプロダクションですし、以前の作品からの再録となるAとC (Aは三度目!) は彼らの楽曲に対する自身と執念が垣間見えます。
最もアイリッシュ・テイストを感じさせるBの冒頭と中間部では前出のフィヨルドが登場し、爽明かつ壮大な大地を想像させる深い奥行きを持つその音色に思わずウットリ。

さらにBとは対照的にロックしているFの物哀しいサビの後に登場するパットのタッピングを交えたギター・ソロは曲と非常にマッチしていて、ある意味様式美的な美しさを感じてしまいます。

そして本作のハイライトとも呼べるインストのGはまさに彼らの個性が凝縮されたサウンドで、アメリカの曲芸ギター・プレイヤーらとは全く違う、気品すら溢れるパットの音使いには悶絶! JEFF BECK を彷彿させるジャズっぽいアプローチはディストーション・ギターのサウンドに慣れた耳には衝撃的ですらありますよ。

しかし、これだけナイスな作品を発表したにもかかわらず、当時のパーティ・ロック的な時代背景とは異なる地味なアルバムだと捉えられた事や、その " ママの可愛い坊や " の意味に取れる奇異なバンド名も影響してか、なかなかアメリカ制覇の突破口が見出せません。

それにしびれを切らしたのか、専任ヴォーカリストを加入させて4人編成でのサウンドの大胆な変化は、何故か兄弟で作られてきたバンド・サウンドの大事な個性・絆が欠落してしまった様な気がしてちょっと悲しかったです。(実際、このヴォーカルは上手い人でしたが)

新しいサウンドもアメリカでは大して受け入れられず、また今までのコアなファンも音楽性の変化を理由に離れてしまってバンド自体が不安定な状態の中、追い討ちをかけるような悲劇が彼らを襲います。三男のドラマーであるトミーが90年に白血病の病に倒れて他界、残念ながらバンドは81年の結成からわずか10年足らずで儚くも解散してしまいます。

MAMA'S BOYS は時代の流れに乗れなかったバンドだなとつくづく感じます。別の時代にもし誕生していたらその個性的なサウンドはもっと受け入れられたんじゃないでしょうか。でも、彼らの残したアルバムは一生残りますし、それらを聴く事は何時でも出来るのです・・。



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POWER AND PASSION / MAMA'S BOYS (1985)

@Hard 'n' Loud
AStright Forward No Looking Back
BLettin' Go
CNeedle in the Groove
DRun
EPower and Passion
FDon't Tell Mama
GThe Professor U
HLet's Get High


歴史的インパクト  個人的思い入れ ★★★
ジャケット・デザイン ★★ レア度 ★★★
雷イチ押しポイント雷 不思議な感じのHRサウンドです、いい意味でね


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posted by ハムバッカー at 01:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月09日

正直言って、最初の感想は 「・・・」 TALAS

ビリー・シーン率いるTALAS の音源は、ライヴ・アルバム 「LIVE SPEED ON ICE」 を聴いたのが一番最初でした。

雑誌に紹介された " ベースのエディ・ヴァン・ヘイレン " という (笑) 今考えると失笑モノのコピーに胸踊りアルバムを探したところ、たまたま近所の貸しレコードで輸入盤が置いてあったのです。

その衝撃と言えば、そのビリーのハーモニクス奏法、両手を使ったタッピング、ネック曲げのアーミングまがいのプレイなど、ちょっと常識では考えられないその多種多用のベース・プレイや、ミッチ・ペリーをはじめとするバック (?) のメンツの個性的なプレイ、さらに楽曲も素晴らしくて瞬く間に私の愛聴盤となりました。

当然、そうなると彼らがライヴ盤以前に発表したスタジオ・アルバムが聴きたくなるのは必然で、本作 「SINK YOUR TEETH INTO THAT 」 を苦労して探し、アルバム (LP) に針を落としたのですが。

正直言って、最初の感想は 「 ・・・ 」

ライヴ盤のソリッドかつワイルドなサウンドに対して、あまりの音圧の差に、当時血気盛んな若人だった私には非常に物足りなく感じたのを覚えています。他に例えると、DEEP PURPLE の 「LIVE IN JAPAN」 と 「MACHINE HEAD」 との同収録曲の差みたいなものでしょうか。

しかし、今改めて本作を聴くと若い頃に見えなかった本作の凄みを感じ取る事が出来ます。収録曲はギターのデイヴ・コンスタンティとの競作Fを除いてすべてビリー単独のペンによるもので、ライヴ盤にも収録された@BCDEは改めてブリティッシュ・テイスト溢れる素晴らしい名曲だと再認識させられます。ビリーの甲高いコーラスが冴えるFやブルージーなI (なんでこの曲だけ直訳邦題が? 田舎町ってのは、ぷぷ) も印象的。ジャケットも異様と言うか、前衛的なのか。インパクトはかなりのものです。

冷たくも固く、整然としたサウンド・プロダクションの中でビリーのベースのみがガキガキと大暴れ。当時のバンドのハングリーな魂もサウンドに封じ込められてて、能天気なLA じゃなくコンクリート・ジャングルに囲まれたNY のサウンドですよ、これは。

ビリーも本アルバムが売れず、地元バッファローでLP を片手にドアからドアに本作を訪問販売をしていたとのエピソードを聞いたことがあります。下積み時代は大変なんですよ、みんな。

その後85年にライヴ盤のメンバーだったミッチ・ペリーからギタリストがジョニー・エンジェルに交代。ジャック・ダグラスもしくはエディ・クレイマーとスタジオ盤を製作するとの噂が流れて、個人的に小躍りしたくなるほど凄く期待してたんですが、ビリーがVAN HALEN を飛び出したデイヴィッド・リー・ロスに誘われてバンドを脱退、TALAS のニュー・アルバムは幻となってしまいました。 (悲)

結局、TALAS はビリー・シーンが在籍していたカルト・バンドのような扱いを現在では受けてますが、もう1枚作品を発表していたらどうなっていたんでしょうか? 個人的にMR.BIG はそれ程好きではないので、TALAS の幻の新作が生まれていれば・・ と考えてしまいます。



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SINK YOUR TEETH INTO THAT / TALAS (1982)

@Sink Your Teeth Into That
AHit and Run
BNV4 3345
CHigh Speed on Ice
DShy Boy
EKing of the World
FOutside lookin' in
GNever See Me Cry
HSmart Lady
IHick Town


歴史的インパクト ★★ 個人的思い入れ ★★
ジャケット・デザイン ★★★ レア度 国内未発売(LPのみ)
雷イチ押しポイント雷 音は薄いが楽曲はGREAT!


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posted by ハムバッカー at 23:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 音楽 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする